
日本の宇宙ベンチャー「ispace(アイスペース)」が打ち上げた月着陸船が、月面に着陸します!
成功すれば、日本の官民初、だけでなく、世界の民間企業で初という偉業となります。
月といえばかぐや姫や十五夜など、日本では月にちなんだ物語や風習が多くありますよね。
そんな月に、とうとう日本の宇宙船が着陸する日が来たのです。
ということで、本記事では日本初の月面着陸について纏めました。
ぜひ、参考にされてみてください。
目次
月着陸船「ランダー」の打ち上げ
ispaceが構想するHAKUTO-R計画。
このHAKUTO-R計画の最初のミッション「ミッション1」として打ち上げられたのが、今回のランダー(月着陸船)です。
打ち上げは、2022年12月11日。
アメリカSpaceX社のFalcon 9ロケットで打ち上げられました。
ロケットから分離直後、月着陸船の姿勢や通信が不安定になることもありましたが、無事この難局を乗り切っています。
詳細はこちら:ispace、ミッション1の中間成果報告を発表 | ispace (ispace-inc.com)
月への軌道
今回のミッション1での、月への軌道は一言でいうとかなり遠回りしています。
打ち上げから1ヵ月後には、地球から約140万kmまで遠くへ行っています。
月と地球の平均距離が約38万kmですので、約3.7倍も遠い地点まで到達したことになります。
アポロ時代は3日ほどで月に到達していたことを考えると、かなり遠回りしていることになります。
なぜでしょうか。
理由は、搭載する燃料の量を最小限に抑えるため。
地球から月へ物資を運ぶ場合、1kgあたり2億円と言われています。
ですので、宇宙機の機体の重さや燃料を小さく抑えることは、コスト削減に大きな効果があります。
潤沢な資金のある企業や国の機関ならいざ知らず、ベンチャー企業は少しでもコストを抑えることが何よりも重要となります。
話を元に戻します。
今回のランダーは打ち上げから約3ヶ月ほど宇宙を旅して、3月21日に月周回軌道に投入されました。
そして、いよいよ月面着陸となります!
月面着陸はいつ?どこに?
ispaceによると、着陸日は運用の状況に応じて変わるとのことです。
最も早くて、4月26日夜。
それ以外では、5月1日、5月3日も候補となっているようです。
着陸予定地点は、月の北半球に位置する「アトラスクレーター」外側にある「マレフリゴリス(Sea of Cold=氷の海)」と呼ばれる場所。
「ひらべったくて凹凸も少ない地点」だそうです。
アトラスクレーターは直径が87km、深さ2kmです。
マレフリゴリスは、アトラスクレーターの北西にあるSea of Cold(氷の海)と呼ばれる「月の海」です。
着陸地点のバックアップは3ヵ所想定しており、着陸時に何かあった場合には西側にずれていくイメージだそうです。
アトラスクレーターは”月の表”ですから、地球からも望遠鏡で観察できそうですね!
さすがにランダーは見えないと思いますが(笑)
月面では何日間運用する予定?
月面での運用予定期間は12日間。
ランダー自体に夜間運用できる能力はなく、月の昼間の期間に限定されているため。「バッテリが凍り付いてしまうので、復活できる見込みはない」という。仮に、再度電源が入ってランダーのコンピュータが立ち上がっても、ランダー自体は、何もしない、電波も出さないモードに設定される。
【やじうまPC Watch】民間月面探査「HAKUTO-R」が26日に着陸。その着陸シーケンスは? - PC Watch (impress.co.jp)
ランダーで何を運んでいるの?
ランダーに積んで運ぶものを「ペイロード」と呼びます。
今回、ランダーに搭載されたペイロードは以下のとおりとなっています。
- 日本特殊陶業(HAKUTO-Rコーポレートパートナー)の固体電池
- アラブ首長国連邦(UAE)ムハンマド・ビン・ラシード宇宙センター(MBRSC)の月面探査車「Rashid(ラシード)」
- JAXA、タカラトミー等が開発した月面探査ロボット「SORA-Q(LEV-2)」
- カナダMCSS社が開発した人工知能(AI)を用いたフライトコンピューター
- カナダCanadensys社のカメラ
- HAKUTOのクラウドファンディング支援者の名前を刻印したパネル
- サカナクションの「SORATO」(HAKUTO応援歌)を収録したミュージックディスク
このうち、月面探査車「Rashid(ラシード)」と月面探査ロボット「SORA-Q(LEV-2)」が実際に月面を走る予定です!
ペイロードの金額は1kgあたり約2億円!
ispaceが提供するペイロードサービスについて紹介します。
料金体系は、ペイロード重量に応じて1kgあたりの価格を顧客に課金します。
ランダーに搭載して月面に輸送する場合、1kgあたり1.5百万ドル、日本円で約1.95億円となります。(1ドル130円換算)
なお、ランダーのペイロード重量は、以下の設計となっています。
・ミッション2:最大30kg
・ミッション3~10:最大500kg
参考文献:新株式発行並びに株式売出届出目論見書(2023年3月)
タカラトミー「SORA-Q」は買えます!

月面を走行するSORA-Qと同じモデルがタカラトミーから発売されます。
2023年9月上旬発売予定で、予約を受け付けています。
公式ホームページはこちら:https://www.takaratomy.co.jp/products/space-toy/flagshipmodel/
ぜひ、この機会に、月面を走るSORA-Qをお子様にプレゼントしてみてはいかがでしょうか!
家族で月へ思いを馳せるのも良きかと!
ispaceとは?
もともとは、2010年に設立された合同会社ホワイトレーベルスペース・ジャパンがispaceの前身です。
Googleが主催する月面無人探査レース「Google Lunar XPRIZE」(GLXP)に挑戦するために立ち上げられました。
オランダのホワイトレーベルスペースと組んで賞金レースに挑んでいましたが、途中、オランダチームが資金難で撤退したため、2013年にチームの拠点を日本に移し、日本チームとして活動を継続しました。
そして、2013年5月、株式会社ispaceを創立します。
その後もGLXPへの挑戦は続きますが、2018年3月、達成チームがいないままGLXP自体が終了しました。
GLXPへの挑戦が終了したのち、ispaceは独自の月着陸機の開発を開始します。
2018年9月には、最初の月探査プログラムとして「HAKUTO-R」を立ち上げます。
さらに、2020年には当時国内のスタートアップ企業では最高額となる101.5億円の資金調達(シリーズA)を行います。
そして、2023年4月12日、宇宙ベンチャーとして初めて東証グロース市場に上場を果たしました。