
元ジャニーズJr.のカウアン・オカモトさん。
ジャニーズ時代は、岡本カウアンとして活動されていました。
そのカウアンさんが、ジャニーズ事務所の創業者、故ジャニー喜多川氏から性的被害を受けたとして記者会見を開きました。
日本外国特派員協会で記者会見を開いた理由は、日本のメディアは取り上げてくれない可能性があるため。
海外メディアに報じてもらうことを想定しての記者会見でした。
本記事では、記者会見と質疑応答について全文(要約あり)をまとめました。
カウアン・オカモトさんの記者会見全文

記者会見は、2023年4月12日、日本外国特派員協会で行われました。
冒頭説明①-ジャニーズ事務所入所とジャニー氏との出会い-
僕は2012年2月、中学校3年生の時にジャニーズ事務所に入りました。
当時、名古屋のモデル事務所に所属していましたが、そのマネージャーがジャニーズ事務所に所属していた俳優の岡本健一さんのマネージャーと知り合いでした。
僕は音楽活動をしたいと思っていたので、自分がジャスティン・ビーバーの”Baby”を歌っている姿を収めたDVDと音楽活動への想いを書いた手紙をマネージャー経由で岡本さんに渡しました。
すると、2月12日、ジャニーさんから直接僕の携帯電話に電話がかかってきました。
その日、東京の国際フォーラムで行われるジャニーズ事務所のグループSexy Zoneのコンサートに来なさい、と言われました。
自宅のある愛知県から急いで新幹線に乗って、コンサート会場に行き、ジャニーさんと初めて会いました。
目の前で”Baby”を歌うと、その日のコンサート舞台にいきなり上げられ、5,000人の前で”Baby”をアカペラで歌いました。
その日からジャニーズJr.として活動することになりました。
歌い終わった後、僕はジャニーさんに青山のレストランに連れていかれ、他のジュニアたちと一緒に食事をごちそうになりました。
その後、他の子たちと一緒に、渋谷区内のジャニーさんのマンションに泊まることになりました。
ジャニーさんは、タワーマンションの最上階の2つの部屋を持っていて、2つの部屋をつなぎ合わせた、とても広い部屋でした。
中には広いリビングにカラオケルームやジャグジーなど、とても豪華な設備が揃っていました。
この部屋については、言葉だけでは伝わりにくいので、後ほど当時僕が撮影した動画で皆さんに見てもらいます。
冒頭説明②-ジャニー氏のマンションで-
初めて泊まったその日は、ジャニーさんから性的行為を受けることはありませんでした。
当時、僕は中学校3年生で愛知県の実家で暮らしていたので、その後も仕事があるたびに東京に行きました。
仕事が夜遅くに終わることもあり、ジャニーさんのマンションに泊まることが何度かありました。
初めて性行為を受けたのは、2012年3月、中学校を卒業する直前だったと記憶しています。
その日も仕事が遅くなって、他のジュニアたちとジャニーさんのマンションに泊まることになりました。
リビングでみんなで出前を取って夕食を食べました。
その後、ジャニーさんが僕のそばに来て肩をマッサージすると、「カウアン、早く寝なよ」と言われました。
僕はジャニーズ事務所に入るまでは、ジャニーさんがジャニーズjr.たちに性的行為を行っているということは、まったく知りませんでした。
しかし、ジュニアになってから、先輩たちからそういう話を聞いたり、僕もインターネットなどで調べ、そういうことがあることを知りました。
「カウアン、早く寝なよ」とジャニーさんに言われた時に、周囲にいた他のジュニアたちは、「今日はカウアンか」と気付いたと思います。
早く寝なよと言われた時に、ジャニーさんの寝室か、そこに近い部屋で寝ないと、翌日ジャニーさんの機嫌がすごく悪くなるということを聞いていました。
なので、その日はジャニーさんの寝室から近い部屋で寝ることにしました。
ただ、その部屋には3つベッドがあり、他のジュニアたちも寝ていたので、「大丈夫かな」と思いました。
冒頭説明③(一部伏字)-ジャニー氏による行為-
ジャニーさんは深夜、よくマンションの部屋の中を見回りします。
部屋の中のカーテンを閉めたり、寝ているジュニアに布団をかけたり、ジュニアたちが騒ぎすぎていないかを見て回るのです。
そして、僕が寝ている部屋にジャニーさんのスリッパの足音が近づいてきて、部屋に入ってきました。
部屋は真っ暗でしたが、窓のカーテンを閉めるときの明かりや、廊下からの入る光で誰がどこで寝ているかは把握していたはずです。
僕のベッドに近づいてくると、足元から布団をはぎ取って、僕の腰の位置で横に寝ました。
僕はその時ジャニーさんの部屋に用意されている浴衣とパンツを着ていました。
ジャニーさんは足のマッサージを始めて、手がだんだんと上がっていき、パンツの上から〇〇を触られました。
そして僕がパンツを脱がされると、直接〇〇を触られ、その後ジャニーさんに〇〇されました。
その間、僕はずっと寝ているふりをしていました。
翌日ジャニーさんと出かけるときに、エレベーターの中で1万円を渡されました。
冒頭説明④-ジャニーズ事務所退所と現在-
その後、2016年にジャニーズ事務所を辞めるまでに、おそらく100回以上はジャニーさんのマンションに泊まり、他にもジャニーさんが滞在先で泊まるホテルのスイートルームに一緒に泊まったりすることもありました。
合計で15回から20回ほどジャニーさんから性的被害を受けました。
今回、週刊文春の取材を受け、「日本のメディアは残念ながらこの問題について極めて報じにくい状況にある。BBCが報じたように、外国のメディアなら取り上げてくれるのでは」と言われ、この記者会見を受けることになりました。
現在、僕は日本と両親の出身地であるブラジルでミュージシャンとして活動しています。
ジャニーさんには、個人的には感謝の気持ちを今も持っています。
ジャニーさんのおかげで人生は変わったし、僕のエンターテイメントの世界はジャニーさんが育ててくれたと思っているからです。
一方で、ジャニーさんが当時15歳の僕やそのほかのジュニアに対して性的行為を行ったことは悪いことだと思っています。
今日は皆さんの質問にうまく答えられるかわかりませんが、自分の体験したことや見たこと、思っていることを正直に話したいと思っています。
質疑応答(要約)

質疑応答:1人目(Arc Times)
質問:強制性交罪の時効は10年。怪我をした場合は15年。すでに亡くなった人でも警察は書類送検をすることができる。そういった法的裁きを求めるか?
「僕も初めて法律のことを知った。そこまで考えていなかったので、そこは考えていない」
質問:日本の主要メディアが報じていないこと、沈黙していたことが、今回の問題を加速させたと思うか。
「長い間、話せなかった部分がありました。こうやって記者会見を開くことで、日本が取り上げないとしても、世界で取り上げてもらえるので、そこは覚悟をして話しています。もしかしたら、僕は顔出しをしているけど、匿名の方もいるので、そこは希望を抱いています。」
質疑応答:2人目(日本外国特派員協会)
質問:「ジャニーさんが性行為をメンバーに対して行っていたのを全く知らなかった」という部分について。当時からジャニーさんの問題となる行為は噂にもなっていたし、99年には週刊文春が取り上げていたが、ジャニーズ事務所入所前までご自身を含め、本当に今回の問題を知らなかったのか。
「他のメンバーは分からないが、僕は中学校3年生ということで、入ってからネットで調べて知った。当時ニュースにもなっていなかったので知る余地もなかった。」
質疑応答:3人目(共同通信)
質問:先ほどの説明の中で、2012年から2016年の間で15回から20回の行為を受けたということでしたが、最初に受けた行為と同じような行為だったのか、それとも他の行為、内容的な、話せる範囲で構わないんですけども、説明をしていただきたい。
「同じような感じです。」
質問:1ヵ月ほど前のツイッターでジャニーズ事務所に訴えられたと発信していたが、この点についても経緯と事実関係を教えてほしい。
「その発信と一緒にYahoo!ニュースのリンクを貼っており、3.11の募金で、クリックされたら10円募金されるということで、その日募金活動として、訴えられてはいなんですけれど、そういった発言をしました。他のインフルエンサーだったりとか、結婚しました、とかいろんなツイートをしていたので、一番僕がクリックされるのであれば、それが募金活動として、それを発言しました」
質疑応答:4人目(日本外国特派員協会)
質問:ほかのメンバーに加えられた被害内容も岡本さんと同じか。
「他のメンバーも基本的に同じような感じです。」
質疑応答:5人目(NHK)
質問:カウアンさんは1996年生まれですかね。私も同世代になるんですが、当時入所された15歳ころのことを思い返すと、たしかに『文春』で追っていらっしゃったけど、子どもたちの世代にはまったく届くような状況ではなかったと思います。お伺いしたいのは、カウアンさんは、知らずに入所したということですが、もし当時大手メディアが報じていたら、ご自身の選択は変わったと思いますか? たとえば、ジャニーズに入所すること自体ためらったとか。
「そのときになってみないとわからないんですけど、もしテレビが当時取り上げていたら大問題になるはずなので、たぶん親も行かせないと思いますし、15歳で未成年なので、僕の判断だけではできないですし。たぶんなかったんじゃないかなと思います」
質問:また、おうちのかたは今回の件をどのように受けとめているのでしょうか?
「僕が家族に話したのは辞めてから。ほかの芸能界の性的被害のニュースなどの闇の話をしているときに、『僕もあったくらいだからね』とはさんだ。3年前くらいに話した。以前親から噂について聞かれたりしていたが、その時は否定していたので、『やっぱ本当だったの?なんで言わなかったの?』と言われた。その時は深く話せないというか、僕も東京に住んでいるので、話を逸らしました。」
質疑応答:6人目(日経アジア)
質問:ジャニーズ事務所に所属していた期間、何人くらいのメンバーが被害を受けていたか。
「隣で行われていたこともあったので、はっきりわかるのは僕以外で3名。家に来たらほぼ全員、逆にない方が珍しいという認識。他のジュニアとも『昨日、やっぱ...』みたいな、みんなはっきりそういう会話をするのは嫌だと思うので、みんな笑いながら”あぁ...”という感じで、そういうのを含めるとほぼ全員じゃないかな、と僕は思っています。」
質問:ほぼ全員とは?
「ジュニアは何百人もいるんですけど、ジャニーさんに気に入られていたりとか、目をつけられてたりするとジャニーさんのマンションに呼ばれるので、僕がいた4年間で100-200人はマンションに出入りしていたと思う。」
質疑応答:7人目(AP通信)
質問1:刑事告訴はしないということですが、他の手立ては考えていますか?たとえば、損害賠償請求をするとか、他の被害者と何らかの組織を作るなど。
「現時点では考えていない。僕的な考えですけど、他の被害を受けたメンバーにも前に出てきてほしい。みんなが出てきて喋ることは大きなことだと考えています。」
質問2:ジャニーさん以外に性加害をメンバーに行った関係者はいますか?
「他にはいないです。」
質問3:ジャニーさんが今ここにいたら何を伝えたいか。
「事務所のトップに認めてほしい。もしジャニーさんもいたらそこを認めて、そういうことがないようにしてほしい。芸能界全体でもそういう行為がなくなってくれたらと思う。」
質問4:どういう意図でジャニーさんはそういう行為に及んだかわかりますか?
「お気に入りや、子供たちに才能があると、そういう感情を抱くのでは、と思います。」
質疑応答:8人目(日本外国特派員協会)
質問:ジャニーさんの行為に対して、メンバーが我慢しているのはなぜか。我慢しないとデビューできないとか、我慢をしないとタレントとしての地位が不利になるのか。あるいは、そういったことを示唆する発言がジャニーさんからあったのか?
「ジャニーさんが気に入っている子や推している子たちが基本的にデビューする。ジャニーさんの横にいたり、ジャニーさんにピックアップされることで、ドラマやグループが決まる。ジャニーさんの一言ですべてが決まるので、その認識は皆さん持っている。今思い出したが、ジュニアの中でも『マンションに行かないと売れないよね』みたいなことだったり、自分から行かないといけないよねということが多かった。」
質問:ビデオの中でお酒が出てきていたが、子供たちも飲める状況にあったのか。
「ジャニーさんも触れないし、僕たちも触れないので、ジャニーさん含め飲んでいるのは見たことない」
質問:ジャニーさんの行為を拒否することはできなかったのか。
「直接拒否することはなかった。寝てるふりをして寝返りをしていることは、他のジュニアもしているみたいで、諦めることもあった。あくまでも彼は自然にいきたいという中で、僕らも自然に逃げようとすることもあった。僕も十何回のうち1、2回は寝返りを打つことで諦めていた。そうすると次の日、急に無視される、話しかけても返ってこないことがあった。嫌だと言った人もいたが、そういう人は仕事が減った人も事実としていた。」
質疑応答:9人目(日経アジア)
質問:1万円を渡す際に、前日の行為について何か話していたか。
「基本的にジャニーさんと行為に関してしゃべることはない。なかったこととして、そういう雰囲気で過ごしている。毎回1万円が渡されることはない。割と気まぐれ。みんなの前で渡したくないと思うので、エレベーターの中だったりとか。エレベーターでもらう際には、二人で乗っていて、横で内ポケットから出して『これ持っておきなよ』って軽い感じで渡されることが、他のメンバーも含め多い。」
質問:ファンはグループを信用したいという想い、アーティストを守りたいという気持ちがある。ファンに言いたいことはあるか。
「難しいですけど。自分の好きなアイドルとかタレントを応援するのはもちろん、続けるのはいいんですけど、そういうことも事実としてある。それから目を背けるのではなく、事実であることを理解した上でリスペクトして応援するのがいいと思います」
「やっぱみんなそういう思いをして、いろんなことに耐えてデビューしているので、僕もメンバーをリスペクトしているし、ファンのこともそれを知った上で、これが認められて次のステップに行けたら一番新しいジャニーズとか、新しい理想になるんじゃないかなと、僕は思いますね。」